気象庁が発表した来年3月までの3カ月予報では、1月は平年より寒く、雪も多くなる見通しです。原因の一つは「ラニーニャ現象」。日本列島が寒くなるメカニズムと、今冬の大雪への備えを、大阪管区気象台の藤原義寿・技術専門官と坂本徹重・予報官に聞きました。
――ラニーニャ現象とは何ですか
藤原 世界中の異常な天候の原因の一つと考えられている現象で、太平洋の赤道付近の海水温が変動します。日付変更線付近から南米ペルー沖にかけて、海水温が通常より半年以上低くなると「ラニーニャ現象」、逆に高くなると「エルニーニョ現象」と言います。
――日本が寒くなる仕組みを教えてください
藤原 太平洋の赤道付近では、貿易風と呼ばれる東風が吹いています。ラニーニャ現象の時はこの東風が強くなって、南米ペルー沖の深いところにある冷たい水がわき上がります。冷たくなった海水は、日付変更線付近にかけて広がります=図①。
一方で、太平洋西部にあるインドネシア近くの温かい海水は、東風でぎゅっと西へ寄せられます=図②。温かい海水であたためられた空気は上昇し、雨雲(積乱雲)が発生しやすくなります=図③。
この雨雲域で上昇した空気が、ユーラシア大陸で吹いている「偏西風」と呼ばれる西風を北に押し上げます。すると、偏西風は蛇行して、日本付近で南下します=図④。この影響で、大陸の高気圧と北太平洋の低気圧がともに発達し、「西高東低」の冬型の気圧配置が強まりやすくなります。
その結果、大陸から冷たい空気(寒気)が日本付近に流れ込みやすくなる=図⑤、という仕組みです。
――今冬はどうですか
藤原 来年1月が寒さのピー…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル